「親が小さいから身長が伸びない？」遺伝で諦めているあなたへ！

子供の身長は”両親の遺伝”が一番影響するものだと思っている方は多いのではないでしょうか。

「私の身長が低いせいで、子供の身長も低いのでは…」と思う方も少なくないはず。

一方、お子さんも同じように「親の身長が低いから背が伸びないかも…」と諦めてしまうこともあるかもしれません。

それほど”遺伝”というのは身長に影響するものだと認識される傾向にあります。

では実際に、遺伝がどの程度子どもの身長に影響しているのでしょうか。

今回は遺伝と身長の関係について解説していきます。

遺伝による身長への影響

いくつかの双生児を対象とした研究によれば、ヒトの身長の差は60～80%の遺伝率があり、100年前のメンデル主義者と生物測定学者の議論以降、ポリジーン遺伝であると考えられている。

引用元：SCIENTIFIC AMERICAN

遺伝で悩む親やお子さんがいますが、残念なことに身長は60％から80％近くまで遺伝が関与し、残りが環境の影響だと考えられています。

「遺伝がそこまで影響しているなら諦めるしか…」と思った方もいるかもしれませんが、諦めるのはまだ早いです。

遺伝は子供の成長に大きく影響しますが、見方によっては20%～40%も環境の影響により身長が伸びる可能性はあります。

なぜ強気に言えるのかというと、過去に比べて身長の平均値が伸びているからです。身長の平均値は文部科学省「学校保健統計調査-平成28年度（確定値）の結果」によると以下のようになっています。

昭和23年

	男子	女子
5歳	103.7cm	102.5cm
11歳	130.4cm	130.8cm
14歳	146cm	148cm
17歳	160.6cm	152.1cm

平成28年度

	男子	女子
5歳	110.4cm	109.4cm
11歳	145.2cm	146.8cm
14歳	165.2cm	156.5cm
17歳	170.7cm	157.8cm

昭和23年と現在の子供たちの平均身長を比較してみると、男の子だと10センチ以上の差がでています。仮に遺伝が大きく影響しているなら、未来永劫、平均身長が変わらないのが普通です。

実際に、バレーボール選手やバスケットボール選手の両親を見てみてください。お子さんのほうが身長が高い場合もあります。

両親の身長は高いのに子供の身長が低い。もしくは、両親の身長よりも子供の身長のほうが高いご家庭を見たことがあるのではないでしょうか。

子供の身長は両親の遺伝だけでは決まらない

両親の遺伝の影響もありますが、環境的要因を改善してあげることで両親よりも身長が高くなる可能性も考えられます。

予測にはなりますが、まずは子供の最終的な身長を先に知っておきましょう。

子供の最終的な身長をある程度予測する方法があります。それは以下になります。

予測方法

• 男の子 ＝ ( お父さんの身長 ＋ お母さんの身長 ＋ 13 ) ÷ 2
• 女の子 ＝ ( お父さんの身長 ＋ お母さんの身長 － 13 ) ÷ 2

上記の計算式を使えば、お子さんの最終的な身長をある程度予測することができます。仮に日本人の平均身長を使って計算してみます。

• 男の子　( 170cm ＋ 158cm ＋ 13 ) ÷ 2 ＝ 170.5cm
• 女の子　( 170cm ＋ 158cm － 13 ) ÷ 2 ＝ 157.5cm

このように目安になりますが、子供の最終的な身長を予測することができます。

しかし、これはあくまで「予測」されるもので最終的にこの身長に伸びるという保証はありません。反対にこの身長を超える可能性もあります。

ここで誤差を生み出すのが「環境的要因」です。

身長サポートのために必要なことと注意点

子供の身長を伸ばすといっても成長期という限られた時間のため、簡単なことではありません。

お子さんの成長をサポートするためにも必要なことや注意点に気をつけて行動しましょう。

身長サポートするための注意点

子供の身長をサポートするためには気をつけなければいけないことがあります。それは「ストレス」です。

子供はストレスに対して大人よりも敏感です。

ストレスの原因は両親のケンカや離婚など、子供が愛情を感じられなくなったときや、反対に子供を想うあまりに、過剰な期待やプレッシャーを与えてしまいストレスの原因となってしまうこともあります。

成長サポートのために必要な生活習慣「運動編」

身長を伸ばすためには骨の成長が必要ですが、運動をすることによって骨に適度な刺激を与えることができます。また、運動を行うことによって成長ホルモンの分泌もサポートできると言われています。

ただ、運動と聞いてとにかく体を動かして疲れさせることが大事だと勘違いしてはいけません。

もちろん、体を動かすことも疲れることも大切です。しかし過度な運動はいけません。過度な運動は負担になってしまう可能性があります。

もっとも子供に適している運動は、子供自身に決めさせることです。バレーボールやバスケットボールは本来なら成長サポートのためによいスポーツですが、子供がやりたくなければ無理にやらせる必要はありません。

無理にやらせてストレスを溜めてしまっては元も子もありません。子供が自主的にやりたい運動をさせてあげてください。

他の子供たちと遊ぶ「鬼ごっこ・なわとび・ドッジボール」でも、十分な運動ができます。

成長サポートのために必要な生活習慣「食事編」

身長を伸ばすために「牛乳を飲んでカルシウムを摂りなさい」と聞いたことはないでしょうか。

「カルシウム」は骨を強化する働きがあるため、お子さんの成長をサポートする栄養素の一つになります。しかし、カルシウムだけ積極的に摂取しても、効果は発揮できません。

実はカルシウム以外にも身長をサポートするために必要な栄養素は数多くあります。

その中でも大切な”タンパク質”。

「身長を伸ばす＝骨を伸ばす」ことです。タンパク質は骨や筋肉の材料となり骨を伸ばす働きがあります。

骨を伸ばして強化するためには、タンパク質とカルシウムの摂取は理想です。

タンパク質を摂取しようとすると肉や魚に多く含まれているので、自然、どちらかの食品を多く食べることになります。

これらは高タンパクと同時に脂肪分が多く高カロリーです。タンパク質を意識して食べ過ぎると、縦に伸びるのではなく横に伸びていく可能性も考えられます。

そこでおすすめなのが「高タンパク・低カロリーの食材」です。太りやすい子や脂っこいものが苦手な子でも、この食材なら食べることができるかもしれません。

おすすめの食材

高タンパク・低カロリーの食材で肉類だと豚肉や牛肉よりも鶏肉がおすすめです。鶏肉のささみはとくに高タンパク・低カロリーで、スポーツ選手もよく食べている食品です。

鶏肉だとささみ以外にも、もも肉・胸肉は皮を取れば脂肪分も減らすことができます。

魚だと、マグロやカツオ、アジは高タンパクで、低カロリーとなっています。しかし、ブリやサバ、サンマはタンパク質が少なく、高カロリーとなっているので気をつけましょう。

白身魚には、低タンパク質・高カロリーの魚が多いので赤身魚を意識するといいでしょう。ちなみにタコやイカも高タンパク・低カロリーとなっています。

肉や魚以外にも豆類では大豆がおすすめです。とくに豆腐は高タンパク質・低カロリーなのでおすすめできます。ただし、同じ豆でも納豆や湯葉は高タンパク質でも高カロリーとなっているので気をつけましょう。

おすすめの調理法

調理法にも気をつける必要があります。基本的に「カロリーを減らすための調理法」を選ぶ必要があります。

カロリーを減らすためには、肉だったら脂身の部分を切る。揚げる料理や炒める料理ではなく、茹でる料理や、蒸すなど油を使わない料理を増やしましょう。

意外とできていないカルシウムの摂取

成長サポートのためにタンパク質の必要性について説明をしましたが、実は「カルシウム」の摂取は難しく、推奨摂取量を過不足なく満たせていない状況です。

厚生労働省の「栄養素の食事摂取基準」だと、大人は700mgに対して、子供は1000mg近くとなっています。

しかし、厚生労働省が行った「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」の結果、7歳から14歳は『657mg』、15歳から19歳は『505mg』と、約半分ほどしか満たせていません。

カルシウムは非常に吸収率の悪い栄養素で、すべての食材に含まれているわけではありません。

カルシウムはどんな食品にもたっぷり含まれているわけではありません。また吸収率の悪い栄養素でもあります。心がけてカルシウムの多い食品を選ばないと知らず知らずのうちに不足してしまいます。その上年をとると小食になるため、カルシウムをとる量も減り、腸でのカルシウムの吸収も悪くなってきますので、若いときよりいっそう食事への配慮が必要となります。

引用元：公益財団法人骨粗鬆症財団「どうカルシウムとればよいの？」

上記のように吸収率が悪く摂取するのが難しいため、過不足を満たすために普段の食事から摂るのが難しい可能性も考えられます。

そんなときに一つの選択肢として活用してほしいのが栄養補助食品(サプリメント)です。

サプリメントはカルシウム以外にも成長に必要な栄養素がバランスよく配合されているため、ビタミン類など他の栄養素も同時に補うことができるものが販売されています。

成長サポートのために必要なこと「睡眠編」

運動、食事ときたら最後は「睡眠」です。近年ではネットやゲームの発達により夜更かしをする子供が増えてきています。

睡眠は体をスッキリさせるだけのイメージですが、成長期の子供にとっては身長が伸びる時間でもあります。

成長ホルモンがいちばん出るのは、熟睡しているときです。日々熟睡できることは背を伸ばすうえでも生活の基本といえます。正常な人の成長ホルモンは夜間に3?5回大きな波になって分泌されます。受験勉強などで睡眠時間は少なくなりますが、「熟睡すること」が大切です。また、お腹が一杯になると、成長ホルモン分泌が抑えられるので夜食はとらず、空腹のまま寝た方が身長の伸びに良いでしょう。

引用元：野瀬クリニック

人はリラックスして寝ているときに成長ホルモンが分泌されていきます。

また、睡眠時間が減ることによって体力と食欲は回復せず、他のことにまで影響を及ぼしてしまいます。

最近はネットやゲームが発達して楽しくなっていますが、将来のことを思って、子供には早めに寝ることを心がけさせましょう。

まとめ

ネットを見ていると「遺伝の影響は25％ぐらいだから影響ありません」と書いているところもありますが、正確な情報元が記載されていないのではないでしょうか。

いくつかの双生児を対象とした研究によれば、ヒトの身長の差は60～80%の遺伝率があり、100年前のメンデル主義者と生物測定学者の議論以降、ポリジーン遺伝であると考えられている。

引用元：SCIENTIFIC AMERICAN

詳しく調べてみると60％から80％近くまで遺伝が関与していることがわかりました。この情報を見て「子どもの身長が低いのは私のせいなんだ・・・」と落ち込んでいる親御さんもいるのは当然です。

しかし、身長は遺伝の影響が全てではありません。環境的要因を変えてあげたら子供の身長が伸びる可能性も考えられます。

もちろん「10cm、20cm伸びる」というのは難しいかもしれません。しかし、昔に比べて確かに平均身長は伸びています。身長が遺伝だけであったら伸びる可能性も低いはずです。

きちんと、お子さんの「運動・食事・睡眠」の3つをサポートしてあげれば可能性も広がります。遺伝だからといって諦めず、お子さんのためにもできる限りのことをやってみてはいかがでしょうか。